中学時代からの長い付き合いで、医師になった友達がいます。彼は医学部受験用の予備校時代から、実家を離れて遠方にいて、顔を合わせる機会がなかなかなかったのが、インターン時代の1年間だけ、ぼくらの実家のすぐそばの病院に勤めていました。インターンというのは、いわば修行奉公のようなもので、医学部を卒業してから2年間おこなわれます。半人前なんて言われるものの、友達に聞く話では、シフトは他と同じく常勤の医師として扱われ、着任早々大変な仕事も回されてきていたそうです。彼が働いていた実家近くの病院は、中規模レベルの大きさでした。
ぼくも彼の白衣姿を見てみようと、わざわざ行ったことがあり、やや古めかしい建物でした。インターンで修行を積むには、いろいろな経験ができるからちょうどいいんだと彼は言っていて、インターン1年目だった彼はさっそく夜勤に外来に、たくさんの初体験をこなしていきました。医師は常勤非常勤合わせても、その規模にしては人数が少なく、ときに彼ひとりの夜勤のときに救急で重症の患者さんが来ると、慌ててベテランの医師を起こしに家まで電話をかけていたそうです。ここで彼は、なんとも大きな失敗をしでかしてしまいます。修行中の身なのにもかかわらず、通勤の自転車で転んで足首を骨折し、自分が患者さんになってしまったんです。
家が近いからと、自転車で通っていたのが、あだになりました。インターンが入院したと病院中に知れ渡り、常勤の医師たちは担当でもないのに、しょっちゅう病室にやってきて、からかっていったそうです。マジで笑いものになるから、お見舞いに来ないでくれと真剣に言われ、一応遠慮しておきましたが、その後は元気に頑張っているので、いま考えれば僕らも、からかいに行っておけば良かったかなと思っています。