3年ほど前、うちのある駅のすぐのところのクリニックが、模様替えをしました。それまではいかにも古臭くて、看板の蛍光灯が夜になると半分もついていない、オンボロクリニックだったのが、建物ごと改装されて、すっかり真新しくなり、クリニックの名前も変わりました。診療する科まで変わったので、どうやら前のクリニックのお医者さんが跡継ぎを迎えず、まったく別のお医者さんに場所を譲った形のよう。それまでの常勤の医師やスタッフも全員いなくなり、別のクリニックに生まれ変わったのでした。あたらしくなったクリニックは、内科の医師が常勤でひとりいるほかは、全員が非常勤で、曜日ごとに入れかり立ちかわりやってきています。診察室が3つあり、内科に皮膚科に美容皮膚科という耳慣れない科を診療しています。もともとあったクリニックとのつながりがあるのかないのか、前のときに通ったことのなかったぼくにはわからないのですが、開院当初から人が集まっているところをみると、なんらかのつながりはあるのかもしれません。先生方はみんな若くやる気があって、元気のいいクリニックという印象です。こういうタイプのクリニックは、常勤の医師が院長を兼ねていて、ほかの非常勤の先生たちをまとめているのが一般的なんでしょう。ただ、常勤の内科の先生と、クリニックの名前につけられた苗字とがちがい、また、通ってくる先生方にも、クリニックの苗字の人がいません。前にあったオンボロクリニックの先生の名前でもなく、そこだけがなんだか謎になっています。どういういきさつでできたのであれ、苦しいときに治してくれるのがいい病院。ここはどの先生もじっくり患者の話を聞き、ていねいに診察してくれて、ぼくも湿疹と風邪を治してもらったので、名前はさておき、これからも通おうと思っています。
私は検査のため総合病院へでかけた。そこには平日の昼だと言うのに患者がごったがえしていた。各担当医師が部屋に一人ずついて患者とむきあっていく。診察が終わった患者は思わしくない検査結果に親子手を取り合い、不安に満ちた顔をしていたり、その隣で自分も悪い病気だったんじゃとそわそわしていた患者が看護師にに大丈夫でしたよ、あの病気ではないので心配要りませんと伝えられ、よかったと胸をなでおろしていたり、そんな人たちを見ながらも、初めての検査に緊張して固まって待っている私のようなものがいたり。
医師の常勤は医療法にも明記されるように、ひとつの必須条件となっています。病院関係者にとっても患者にとってもこの事柄はとても意義のあることです。診療日はいつも過酷で、ひとりでも多くの医師を必要とする環境下にあります。医師当人たちの雇用はもちろん、病院側にとっても医師が居続けるので経営の面でも一安心といったところでしょう。法律上の面から指摘すると以上のようになりますね。医療法の複雑さはいろいろと課題もあります。
医師の仕事っていうと就職するときは医師会から紹介のような形でいわゆる就職活動なんてものとは無関係だと思われてる方って結構いるんじゃないでしょうか。でも実際はそうでもないんですよ。最近病院のホームページを見ると常勤で勤務可能な医師募集や当直医募集、非常勤募集などの言葉をよく見かけます。医師の仕事はどの病院に勤めるのか、何科の医師なのかによって収入が大きく変わってくるんです。だから最近ではより好条件で仕事をしようと転職活動をする医師が増えてきています。最近では医師の転職を専門に取り扱う転職サポート会社なんてものもあるんですよ。
医師の仕事に限らず仕事をする場合常勤なのか、非常勤なのかは働くスタイルに大きく影響してきます。常勤であれば毎日、決まった労働時間を勤務する必要があるのでなかなか仕事を掛け持ちするということは難しいです。一方非常勤の場合は決まった日に決まった時間勤務するので曜日を変えれば複数の職場を掛け持ちすることができます。医師の仕事以外に常勤、非常勤という言葉をよく耳にするのが大学教授なんかじゃないでしょうか。この常勤、非常勤。医師不足を解消するのに一役買ってくれるんじゃないでしょうか。
私の父は、東京にある大きな病院で、医師として働いていた。常勤医なので、基本的には、勤務時間が決められていて、年間の休暇日数も決められてはいるが、医師の仕事は患者さんの容態に左右されるため、生活が不規則になってしまうのは仕方がない。深夜になってから仕事に出かけることもあれば、早朝に帰宅することもある。緊急の手術が入ったために、せっかくの休日に病院から呼び出され、急いででかけていく姿を何度も見たことがある。幼少のころの私は、常勤の医師として働く父の仕事をうらめしく思ったこともある。休みの日に、外出する約束をしていたのに、担当している患者さんの病状が急変し、休みが返上になることが多々あったからだ。